
ここまでご紹介してきた、西双版納タイ族自治州の州都、景洪市。数日の観光なら景洪の中心部でもお腹いっぱいだが、せっかくならもう少しタイ族色強めの土地にも突っ込んでみたい。と言うわけで、都心から 30 キロほど離れた橄欖壩 (ガンランパ) を訪問した。このあたり、昔からタイ族が集中して居住しており、かつてはバックパッカーが少数民族の生活体験として民宿に滞在することもできた。橄欖壩からメコン川を挟み、およそ 17 km でミャンマーとの国境に達するので、まさにビッグ・チャイナの辺境地帯。

タイ族の伝統的な家屋が集中してるいくつかの村は、現在「傣族園」(タイ族園) としてゆるめのテーマパークになっており、参観には幾許かの入場料が必要だ。敷地内には、複数の寺院もあるし、青空市場っぽいものもあるし、ラオス、ミャンマーの国境を見にいくスピードボート乗り場 (有料) もあるので、ここは素直に入場券を購入しよう。団体旅行客には、毎日定時に行われる水かけ祭り (タイのソンクラーン (สงกรานต์) を模したもの。と言うより、こちらがソンクラーンの源流なのやもしれぬ) が人気のようだ。

それほど大きな敷地でも無いので、適当に内部を散策してみる。自身、ラディカルな浄土宗信徒ではあるものの、ながらく中国に住んでいると、仏さまに参拝する習慣が薄れてしまう。奇しくも西双版納にて、「ただ一向に念仏すべし」との法然上人のみ教えを、自らに問いなおす。明らかに造りが日本と違うとはいえ、あらためて寺社の境内に入ると、なんとなし引き締った気持ちになる。

極彩色の巡礼の合間、迷惑にならない程度に、リアルな民家の様子も覗かせてもらう。このあたり、熱帯雨林気候ということもあり、タイ族は伝統的に高床式の住居に住んでいるようだ。一階部分は、いわゆるピロティのような役割を果たし、おそらく湿度、温度、虫などから逃れるために、居住空間が二階以上の部分に割り当てられている。こんな仕掛けがあるだけで、時間がゆっくり流れているような気がしてまうものだから、人間なんて実にいい加減なものだと思う。

景洪からさらに数時間足を伸ばせば、タイ族仏教信仰の奥の院、いわば「祖山参拝」的存在、1203 年に建立の曼飛龍仏塔 (孟龍) などもあり、一見の価値以上のすさまじい建築なのだが、ふつうの日本人にはアクセスが異常に難しいうえ、ほぼ国境地帯のため、官憲からミャンマーの特殊詐欺関係者と誤認されると厄介なことになる (実話)。とりあえず、タイ族や当地の風土について理解を深めたいのであれば、まずは傣族園を訪問してみることをおすすめする

(曼飛龍仏塔: 写真提供 KUMA 氏)
