
広州市内で、広州人とタイ料理店、ベトナム料理店などに赴くとなると、なにかの義務でもあるかのように、パイナップルの実に詰められた炒飯、すなわちパイナップル炒飯 (菠蘿炒飯:ข้าวผัดสับปะรด) を注文することになる。見た目は派手だが、八角などの具材が日本人の好みと合わないことも多く、それほど美味しいものではない。まあ、日本のオジサンだって、広東料理でも、武漢料理でも、上海料理でも、条件反射で紹興酒を頼んでしまう訳で。。。彼らにとっては、エスニック料理の主役 = パイナップル炒飯なんだと理解している。

西双版納では、どうしても食べてみたいものがあった。上述のパイナップル炒飯ではなく、もち米を使ったパイナップルご飯 (菠蘿飯) だ。正直、食べてみるまで、味の想像もつかない。タイ族の伝統的な料理であることは確かなようで、栄光ある広州カレー部の学術活動の一環として、無視することのできない一皿となる。初めてのバンコク旅行の際には、マンゴーともち米を合わせただだくさな一皿 (もち米マンゴー:これについては後日、詳述する) を、堂々とデザートとのたまうタイ人の感性にずいぶん驚かされたものだ。しかし、タイ東北部のイサーン料理なんかに慣れてくると (イサーン地方はラオスと国境を接している) 、雲南 – ラオス – タイと繋がる、「もち米のシルクロード」みたいなのに親近感が湧いてくる。味覚を通して、文化人類学的パズルを解くのは、広州カレー部の伝統だ。

(こちらは、バンコクの「洗練された」、もち米マンゴーとガイ・ヤーン)
西双版納の州都、景洪市の告庄という一画には、東南アジア最大の夜市があったりして、歩道も整備されており、観光客でもリラックスして街歩きを楽しめる。告庄のホテルの近くで、タイ族料理の店を見つけたので、さっそく上述のパイナップルご飯を試してみることにした。ちなみに市内にはタイ族料理店が無数に存在するので、ソーシャルメディアではなく、嗅覚のみを頼りに店を選ぶのも、また楽しからずや。

(西双版納の、パイナップルご飯とタイ族風ローストチキン)
せっかくなので、イサーン料理のガイ・ヤーン (ไก่ย่าง:Grilled Chicken) とほぼ同じ見た目のタイ族風ローストチキン (傣家烤鷄) も注文。チキンを焼けばこの味にしかならないという訳で、スパイスの違い以外は、立派なガイ・ヤーン。タイで食べる方が肉質がよりしっかりしているような気はした。未知のパイナップルご飯は、パイナップル片自身の味により、酸っぱかったり、甘かったりと、なかなか掴みどころがない。とは言え、当地でしか食べられない (かもしれない) というレア度と、かわいらしい見た目もあいまって、一気にファンとなった。

(西双版納の夜市でも、パイナップルご飯は売られている)
