西双版納 (シーサンパンナ) という地域が、雲南とラオス、ミャンマーの国境近くにある。

エキゾチックな響きの名前からわかる様に、いわゆる漢民族の土地ではない。時を遡ること千年以上、この地からメコン川を南下し、現在のタイ人の源流になったとも言われるタイ族の自治州だ。2025 年に機会があり、同地を訪問したので、備忘録として記事を残しておく。

まず、アクセスについて、事前にネット上の旅行記を検索したところ、「タイみたいな場所なのに、本物のタイに行くより何倍も時間がかかる」などと書かれており、なかなかに穏便ではない。以前は、昆明から山路を延々とバスで行くしかなかったようでもあるし、空路を使ったとて、日本からとなると、そこかしこで飛行機を乗り継いで丸一日はかかってしまう。とは言え、広東省在住の特権として中国南方航空のアプリで、広州 – 西双版納のフライトを検索したところ、意外にも 1 日 3 便がヒットした。今となっては、謎の国境・辺境地帯というわけでもなさそうで、これはこれで意気消沈する。

南方航空で予約したフライトは、子会社の重慶航空の機材で、広州から約二時間の空の旅。ちなみに、西双版納の空港には、北部湾航空、東海航空、瑞麗航空、龍江航空、Lucky Air、Loong Air、OK Air などなど、謎の新興系中華エアラインが集結しており、一部のマニアにとっては垂涎の場所となっている。近年の中国の空港は、どこもやたらとだだっ広く、必要以上にギラついているが、そんなモダンな空港と一線を画すタイ風味の西双版納空港を抜ければ、そこには中国でここだけと称される熱帯雨林気候が待っていた。ホテルの送迎車の運ちゃんに電話をしてみると、なんだか、間伸びしたような、ゆったりとした抑揚の普通話が帰ってくる。先入観もあるのだろうが、このアクセントは、やはりタイ語だ!となり、自ずと旅の高揚感に包まれる。

シーズンオフゆえ、ホテルの選択肢には余裕があり、あえてタイっぽいホテルを予約してみた。チェックインは、タイ族 (推定) のスタッフが担当してくれたが、中国特有の獰猛な感じが全くないのが大変よろしい。初めての土地ゆえ夕食難民になったら困ると思い、荷解きもそこそこに、タイ族料理を求めて街に出てみることとした。

